1523 | 落とし所 | はくぶん | 2009-06-06 17:39:08 |
交渉の上手い人間は、落とし所を見つけるのが上手いという。 お互い利益が相反する状況の中で、交渉を成立させる為には、 ある程度の妥協は必要不可欠だからである。 FIAのマックス・モズレー会長とフェラーリのルカ・モンテツェモロ総帥は、 F1の予算削減案を巡って真っ向から対立している。 FIAが削減案を押し通すなら、F1撤退も辞さないとするモンテツェモロ。 フェラーリがいなくても、F1開催に問題はないと突っぱねるモズレー。 開催側代表とエースチーム総帥の意地の張り合い。 しかし、恐らく本音は、フェラーリはF1撤退など望んでおらず、 FIAもフェラーリに撤退されたら困る、というものだろう。 来年度のエントリーに関して、少なくとも17チームが申請済みと言われている。 確かにフェラーリが撤退し、他の数チームが連鎖的に撤退しても、 最低20台以上の出走は可能なことより、F1の開催自体には問題はないだろう。 そういう意味ではモズレーの方に多少の分があるように思われるが、 フェラーリのいないF1を、世界のF1ファンがどう受け止めるか。 F1人気は下降線を辿るというのが大方の予想である。 短期的にはモズレーの方に分があるように見えるが、 長い目で見るとフェラーリ側に大きなアドバンテージがある。 モズレーは1993年にFIAの前身FISAの会長の座に就き、 それ以来16年の長きに渡って君臨し続けるF1史上最強の首領。 一説には、今回の予算削減問題に業を煮やしたメーカー系チームが、 モズレーの後釜を探しているとも伝えられているが、 今年行われる次期会長選挙でも有力な対立候補はなく、 モズレー再選はほぼ確実と見られている。 そんな百戦錬磨の男が落とし所を心得ぬはずはない。 ましてや相手は天下のフェラーリ。 この超大物同士の真っ向対決。 決着するとしたら、果たしてどういう条件で合意したのか、 その落とし所がまさに見物である。 もし決着しなかったら? 恐らく両者共に大きな痛手を被るであろう危険な道を敢えて選ぶはずがない。 しかし、もし万一決別した場合、モズレーもモンテツェモロも、 この先その権力の座は長くはないかもしれない。 強硬な姿勢を崩さないモズレーだが、もう落とし所は決めているのだろうか。 |
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