2259 時間 はくぶん 2009-11-22 03:24:45
世間ではよく、時間がもったいない、という言葉を口にするが、
自分はどんな状況でも、時間がもったいないと思ったことはほとんどない。

何かしなければならない事があって、急いでいるから時間がないということはある。
しかし、今現在の時間をどんな風に使おうと、
それがもったいない使い方であると感じることはない。

休日に何もせず、ボーとしたりダラッとしたりして過ごす時間は、
自分にとって頭を休め、リラックスするために必要な時間であって、
もし、逆にそういう時間がなかったら、頭も体も疲れ果ててしまうのではないかと思う。
とにかく動き回るのが好きな人間も世の中にはいるが、自分にはそれは無理である。

ただ無駄に延々と待たされる場合であっても、
他に何もすることがなければ特に時間がもったいないと思うわけでもない。
他にすることがないから退屈だ、くらいにしか思わない。

時間の使い方は人によって様々だろうが、
時間がもったいない、と言う人間を見ていても、
それほど有効活用しているようには思えない。
むしろ他の無駄なことに時間を浪費していることも多い。

何に時間を使えば無駄で、何に使えば有効か、などという基準はどこにもない。
それはあくまで自分の価値観と先入観によるものであって、
実際にはみな結構無駄な時間を過ごしているのではないかと思う。
集中して短時間で仕上げ、後は何もせずにボーとしているのが効率的なのか、
ダラダラ長い時間を費やして一つの事を終えた後、
間髪入れず、次の事に取り掛かるのが効率的なのか、
どちらももったいない時間の使い方をしていると言えば言えないこともない。
結局、人はどこかで必ずもったいない時間の使い方をしているのであって、
本人が単にそれを認識していないだけの話である。
常に有効活用しようなどと思ったら、心身共に疲れ果ててしまうだけだろうと思う。
その場面における内容が気に入らない、やりたくない、居たくないという気持ちを、
時間の問題にすり替えているだけであろうと思う。
その内容が気に入っているなら、やりたいなら、居たいなら、
他人が見てどんなに無駄な時間の使い方であっても、
本人は決して、時間がもったいない、などとは言わないだろう。

時間がもったいない、などという言葉は、
好き嫌いをはっきり言えず、かといって、黙っていることもできず、
つまらない内容に対して何か批判めいた事を言いたい時に使われる、
単なる見栄か格好を付けているだけの言葉にしか思えないのは自分だけだろうか。

自分にとって理想的な一日の過ごし方は、
10時間の睡眠と6時間のカーニバルと8時間の一人の時間。
8時間一人でいて何をするのかと言えば、特に何もしないだろう。
人にはもったいない時間の過ごし方と言われるかもしれない。
しかし、それが自分にとっては非常に重要な時間であると言える。
逆に8時間の睡眠と16時間の何かをしている時間。
それが理想と言う人間もいるだろうが、恐らくそういう人間の16時間の内容は、
自分の6時間のカーニバルより密度の薄いものであると想像する。

時間を無駄に過ごすことに不安を感じる人間は、
何かの強迫観念に取り付かれているとも言われている。
リラックスして過ごす時間は、所詮もったいない無駄な時間ではないだろうか。

時間がもったいない、を口癖にしている人間に対して、
それならその時間を一体何に使いたいのか、と尋ねれば、
はっきりとそれに答えられる人間はいないだろうと想像する。
他に何かしたいことがあるから、その時間がもったいないのではなく、
特に何もすることがないから、つまらない時間に対しては、
殊更そう感じるだけなのだろうと思う。

逆に何かに熱中している人間にとっては、
どんな時間も無駄な時間ではないのだろうと思う。
何をしている時であっても、何もしていない時であっても、
時間がもったいないなどという意識は持たないのだろうと思う。
それはきっと今現在熱中している事によって、
常に気持ちが充実しているからではないだろうかと思う。

時間の長短は気持ちの充実度に反比例するように思われる。
つまらない時間は長いだろうし、楽しい時間はあっと言う間に過ぎる。
それと同じように、たとえ短くてもつまらない時間はもったいない時間であり、
どんなに長くても充実した時間は意義ある時間だろう。
例え何もしていなくても、気持ちが充実していれば、
時間がもったいないなどと感じることも恐らくはないだろうと思う。

時間がもったいないなどと思う前に、
何も熱中できない自分の気持ちをもったいないと思うべきではないかと思う。
何かに熱中し、気持ちが充実していれば、
あらゆる時間が活き活きして見えてくることを知らない。
そういう人生をこそもったいないと思うべきだと思う。

“人生は死ぬ時までの暇つぶし”
昔、アングラ系サイトのトップページで見かけた言葉だが、
何かに熱中することも、充実した気持ちを持ったこともない彼にとっては、
あらゆることに対する時間が、もったいない時間の使い方であるのかもしれない。
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