2372 おばちゃんとおじいちゃん はくぶん 2009-12-19 07:15:17
金曜日は回転寿司。

一番美味かったのは、やはりブリトロ。
あの店ではマグロより遥かに美味い。

いつもは食わないヒラメやサヨリ、イワシなども頼んでみたが、
ブリトロを超えるものはなかった。

最後はいつも通りお新香巻きと茄子の浅漬け。
これは今後もきっと変わらない締めメニューだろう。

隣に座ったおばちゃんが、なんだか妙な感じで落ち着きがない。
他の店ではいつも頼んでいるなどと言って、その店のメニューにない物を注文したり、
最初にそんなに食えるのかと思うほど大量に注文しておきながら、
暫くして、まだ出来上がっていないなら、今からいくつか変更したいだのと言い出したり、
およそ常識を持った人間とは思えない言動で、店員を始終困らせていた。

このおばちゃんを見て思い出したのが、
東京に居た頃、結石で入院した時に同室になったおじいちゃん。

始終わがままや文句を言っては看護婦さんを困らせていたらしい。
家族も注意するのだが、一向に聞き入れない。
ところが、自分が同室になり、そのおじいちゃんと話をするようになってから、
おじいちゃんの様子が変わって来た。
病室で楽しそうに社交ダンスを披露したり、しょっちゅうお菓子や果物をくれたり、
自分の分の食事まで一緒に持って来てくれたり、今までとは違って段々明るく素直になり、
最後には、今までわがままばかり言って申し訳なかったと、
病室に入って来る看護婦さんみんなに謝っていた。

家族からもあまり相手にされていなかったみたいで、
きっと独りで寂しかったんだろう。

何日かして大部屋に空きが出来たので移ったら、
翌日、おじいちゃんも移って来たのには驚いた。
自分はその後、直ぐに退院になったので、
それからおじいちゃんがどうなったのかわからないが、
今でもそのおじいちゃんのことは忘れない。

優しくて可愛い少年のようなおじいちゃんだった。

一人で回転寿司にやって来たそのおばちゃん。
きっと家族からも厄介者として相手にされていないのだろう。
日常があんな風なら、それも仕方ないとは思うが。

店員に話し相手になって欲しかったのかもしれない。

そんなおばちゃんとおじいちゃんの事を考えていたら、
なぜかエディ・キャンスターなる人物の、こんな言葉を思い出した。

「指名手配リストを見るたび、いつもこう思う。
 もっと前にこの人達に、自分は求められている人間なんだと感じさせてあげていれば、
 今こんな形で彼らが求められることはなかっただろうに、と」
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