2705 | バスの中で | はくぶん | 2010-03-09 22:10:31 |
今日バスの中で、女の赤ちゃんがお父さんにだっこされながら椅子に座っていた。 その椅子の後ろに座っていたのは、ケバい化粧をした若い女の子二人組。 その赤ちゃんがお父さんの肩越しに、じっとその二人を見つめていた。 始めは喋っていたので、二人はその赤ちゃんの視線に気付いていなかったが、 暫くして、その内の一人が気付いた。 どうせ知らん顔してまた話を続けるか、 そっぽ向いて窓の外でも眺めるかするだろうと思っていた。 しかし、予想に反して、その女の子は赤ちゃんに向かって、 口をすぼめたり、面白い顔をしたり、手を振ったり、笑いかけたり、 満員のバスの中で、座りながら出来るあらゆるパフォーマンスを披露した。 赤ちゃんは大喜びで、満面の笑みを浮かべながら、手足をバタバタさせていた。 一体何があるのかと、お父さんが何度も振り返ろうとしていたほどだった。 もう一人の女の子も一緒になってやり始めたが、その女の子とは何かが大きく違う。 形だけやっているという雰囲気がありありと出ていた。 その父娘の横に立っていたおばちゃんなど、赤ちゃんが視線を送ってもまったく知らん顔。 子供を育てた経験くらいあるんだよな、と疑問に思うほど素っ気ない態度だった。 化粧の濃さで人を判断するより、赤ちゃんを前にした時の方が、 よっぽどその人間性が伺い知れるものだなあと思った。 大人相手だと通用する技も、赤ちゃんには通用しない。 赤ちゃんに通じるのは、唯一心からの何かだけなんだろうと。 |
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