2837 | F1第3戦マレーシアGP決勝結果 | はくぶん | 2010-04-11 23:18:17 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
灼熱の中で争われたF1第3戦マレーシアGP。 先週は事情により見れなかったが、今日、ようやくその時のビデオを見終えた。 遅ればせながら、そのレースの模様と結果を記す。 シーズンを通して最も過酷と言われるその気象条件は、 スタート時に気温32度、路面温度は45度というものだった。 予選では名物のスコールに見舞われ、フェラーリやマクラーレンが17番手以下という、 信じられないほど下位に沈む波乱の結果となったマレーシアGP。 その決勝結果は以下の通り。
今回はベッテルとウェバーのレッドブル勢による1-2フィニッシュ。 3番グリッドからスタートしたベッテルが、スタートダッシュで前2台をかわし、 第1コーナーの出口でトップに立った。 予選でポールポジションを獲得したウェバーは、ベッテルに抜かれたものの、 その後は安定した走りで終始2位をキープ。 結局この2台は、最後まで他を寄せつけることなく、 安定した二人旅でチェッカーを受けた。 バーレーンGPとオーストラリアGPでは、 いずれもポールポジションを獲得し、トップを快走しながらも、 途中マシントラブルにより不本意な結果に終わったベッテル。 今回、ようやく優勝を果たして、前2戦の悔しさを晴らしたと言えるだろう。 チェッカーを受ける直前のジグザク走行。ウイニングラン時の雄叫び。 そして、表彰台に上る時のスキップ等、その格別の喜びが随所に伺われる。 レッドブルマシンの信頼性が見えて来た今回のマレーシアGP。 これからベッテルは連勝街道をひた走るかもしれない。 20番手からスタートし、前を走る各マシンをごぼう抜きで、 最後は6位でフィニッシュしたハミルトン。 今回はマクラーレンのマシンが直線で圧倒的なスピードを見せていた。 そのハミルトンを最後まで前に行かせなかったのがスーティル。 コーナリングスピードではマクラーレンより劣るフォースインディアのマシンで、 どれだけ攻め続けられようと5位を守り抜いた彼の走りは賞賛に値するだろう。 昨シーズンの途中からストレートスピードに於いて、 何かポイントを掴んだと解説されていたフォースインディア。 事実、今季の予選でもすべてQ3進出を果たし、最早Q3の常連となりつつある。 これからコーナリングスピードにも磨きがかかれば、 将来スーティルも優勝戦線に絡んで来る存在となるだろう。 小林可夢偉、シューマッハ、リウッツィ、コバライネンと、 序盤でマシントラブルによるリタイアが続出。 デ・ラ・ロサに至っては、予選を12位で通過しながら、 マシントラブルで決勝に出走できないという有り様。 後半もペトロフ、グロックとマシントラブルによるリタイアが続き、 マシンに厳しいマレーシアGPを改めて認識させられる結果となった。 特にペトロフは、ハミルトンと強烈なバトルを演じていただけに、 そのリタイアは非常に残念であった。 終盤の見どころは何と言っても、バトンとアロンソの8位争い。 タイヤが磨耗し、かなり厳しい状態で走っているバトンに、後ろから襲い掛かるアロンソ。 普段のアロンソなら、そんなバトンくらい簡単にかわしていただろう。 しかし、アロンソもエンジンかギアにトラブルを抱えており、 シフトダウンがスムーズにできない厳しい状態。 中盤を過ぎたあたりからアロンソのマシンの挙動がおかしいことは解説でも言及されていた。 何度となくコーナーの入り口でバトンに並びかけるが、 ギアが下がり切っていないため、コーナー出口の立ち上がりでバトンに置いていかれる。 無理をすればエンジンが壊れるかもしれない。 そんな限界状態にあることはアロンソが一番よくわかっていただろう。 周回を重ねてもバトンの後塵を拝し続けるアロンソ。 そのままエンジンをいたわって走っていればバトンを抜けなくても9位は確保できる。 8位と9位、4ポイントと2ポイント、ポイント差は僅かに2ポイント。 しかし、ラスト2周でアロンソは勝負に出た。 コーナーの入り口でバトンに並び、オーバーテイクを見せたアロンソ。 完全にバトンを抜き去ったと、誰の目にもそう見えただろう。 しかし、ギアが下がり切らずコーナーの途中で外に膨らんでしまう。 その隙をついてインからバトンが抜き返す。 バトンの立ち上がりに遅れまいとエンジンにパワーを入れるアロンソ。 その瞬間、エンジンが限界を越え、アロンソのマシンから白煙が上がる。 そのままマシンはスローダウン。 コース外の芝生にマシンを止めて、アロンソはリタイア。 結局完走扱いで13位にはなったものの、今回はノーポイント。 “1位になれないのなら、9位でリタイアした方がいい” レース後のインタビューで、その言葉は一際印象的だった。 昨シーズン、前半戦の圧倒的な貯金にものを言わせ、 後半戦は不甲斐ないと揶揄されるほど安全に走ってワールドチャンピオンを手にしたバトン。 そのバントとは対照的なこのアロンソの攻めの姿勢。 エンジンに無理を強いずに、そのまま9位でフィニッシュすれば2ポイントは獲得できた。 しかし、彼はそれをよしとせず、2ポイントを捨てて4ポイントを取りに行った。 その飽くなきチャレンジ精神こそ、まさに真の王者に相応しいと言えるだろう。 今回のレースで目立ちはしないが、非常に注目すべき点がある。 それはグラッシによるヴァージンのマシンの完走である。 新規参戦チームであるヴァージンが決勝で初めて完走を果たしたということも大きいが、 実はもっと注目すべきポイントがヴァージンにはあるのだ。 今季が始まる前から、ヴァージンとBMWザウバーのマシンは、 燃料タンクの設計ミスにより、コースによってはレース中にガス欠に陥る可能性が予想されている。 BMWザウバーはチーム側が何のコメントも発していない上に、 前戦オーストラリアGPではデ・ラ・ロサが完走を果たしている。 従って、BMWザウバーのマシンが本当にそうなのかどうかは現時点では不明である。 しかし、一方のヴァージンはチーム側がこの事実を認めているのだ。 燃料タンクを急きょ修正するにしても、 その完成はヨーロッパラウンドに間に合うかどうかというタイミングらしいので、 アジアラウンドは最後まで不備のあるタンクで戦わなければならない。 そんな中でのグラッシの完走は、非常に大きな意味を持つものと言えるだろう。 しかし、これでこの2チームの問題が解決したわけではない。 これからコースによってはガス欠に陥る場合もまだまだ考えられる。 そういう意味では、タンク自体が修正されるヨーロッパラウンドまでは、 この燃料タンクとガス欠の問題からは目が離せないと言っていいだろう。 ドライバーズポイント
まだ優勝はないものの、常に上位でフィニッシュし続けて来たマッサが現時点で暫定首位。 しかし、そのすぐ下にはアロンソとベッテルが2ポイント差、 バトンとロズベルグが4ポイント差で肉迫している。 優勝一発で7ポイントも差がつく今季のポイント制度。 3戦が終わった段階で、首位のマッサから8位のウェバーまで、 優勝戦線はまさにだんご状態にあると言えるだろう。 コンストラクターズポイント
前戦オーストラリアGPが終わった段階で4位と出遅れていたレッドブルだが、 今回のベッテルとウェバーの1-2フィニッシュで43ポイントを加算して、 一気にメルセデスを抜いて3位にジャンプアップ。 もうほとんどマクラーレンには追いついている。 ドライバーとマシンの戦闘力を考えれば、 今後は、フェラーリ、マクラーレン、レッドブル、メルセデスという、 上位4チームによるポイント争いになっていくものと予想される。 その中にルノーやフォースインディアが絡んで来るのはちょっと難しいかも。 ますます混戦状態になって目が離せない2010年度F1シリーズ。 現在首位のマッサが、その座を守り切れるとは到底思えない。 シューマッハも今はチームメイトのロズベルグに押されっぱなしだが、 そこは7度のワールドチャンピオン、このままで終わるはずがないだろう。 そのロズベルグも常に上位をキープし、着実にポイントを重ねている。 これから波に乗っていくであろうベッテルを、アロンソがどこまで止めることができるか。 そこに、ハミルトン、マッサ、シューマッハ等がどれだけ絡めるか。 それが今後のワールドチャンピオンの行方を左右する大きな鍵になるだろう。 次回F1第4戦中国GPは4月18日決勝レース。 |
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