2941 只今帰宅 はくぶん 2010-05-02 23:12:07
顔は何となく見たことあるが名前が出てこない。
名前を見ても昔の顔が浮かんで来ない。

30年振りに会った中学の同級生は、みんなそんな感じだった。
みんな首から名札をぶら下げ、まるで新入生そのもの。

俺の名前を呼んでくれるのだが、お前は誰?
一緒に遊んだと言われても、お前、どこに住んでたっけ?

本当に申し訳ないほど、何も覚えていない自分に情けなくなった。

後ろから名前を呼ばれて、振り返ったら綺麗な女性。
もちろん即座にわかるはずもない。
なんだか声が低く太い。
そんな女の子いたっけな?
誰だかわからず名前を聞いてびっくり。

お前、女になったのか。

タイで撤去作業を受け、今はもう無いそうである。
昔はひょうきんなところはあったが、華やかさなど無縁の奴だった。
それが今やミニスカートをはいて、どの女の子よりも華がある。

俺たちの世代にも、そんな奴がいたとはね。

最後の記念撮影は全員では入りきらないので、
男性陣と女性陣に分かれて撮ったのだが、そいつは両方に加わっていた。

幼稚園から中学までずっと一緒。
小学校から高校までずっと一緒。
そんな面々も少なくはなかったが、それでも全員わかるわけじゃない。
幼稚園一緒やったやん、なんて言われても、
幼稚園の頃の記憶などほとんどない。

小1、小2と同じクラスで、よく俺の家にも遊びに来たという女の子。
顔を見ても、名札を見ても、住んでいた場所を聞いても思い出せない。
俺のフルネームを名札も見ずにさらりと言える上に、
未だに俺のオカンの顔まで覚えてるらしい。
実はあの頃、密かに俺のことが好きだった、という、
40年の時を経た告白に二人で大盛り上がりし、
当時の色んな事を語り合って懐かしんだ。

あの頃はみんな一緒だったのに、
今は本当にバラバラの道を歩んでいるなとしみじみと感じさせられた。
30年経って初めての同窓会。
今でも連絡を取り合って、付き合いが続いている者達も多い。

あの頃、一緒に遊んだ仲間。
30年以上経って、自分は忘れていても、未だに覚えていてくれている。
自分は今まで大事なものをずっと捨てて生きて来たような、そんな気がした。

3次会も参加したかったが、大阪まで帰って来れなくなりそうな場所だったので、
2次会のお開きと共に失礼することにした。
それだけが残念だった。

また30年後と言わず、3年後でも5年後でもぜひやってくれ。
また必ず参加するよ。
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