2988 F1第6戦モナコGP決勝結果 はくぶん 2010-05-17 03:49:37
穏やかな日射しのモンテカルロで争われたF1第6戦モナコGP決勝レースは、
気温28度、路面温度33度という絶好のコンディションでスタートしたが、
途中でクラッシュが続出し、セーフティーカーが4回も入る大波乱の展開となった。
シリーズの中でも別格とされる名誉あるモナコウィナーの称号を賭けた戦い。
その決勝結果は以下の通り。

優勝ウェバーレッドブル
2位ベッテルレッドブル
3位クビサルノー
4位マッサフェラーリ
5位ハミルトンマクラーレン
6位シューマッハメルセデス
7位アロンソフェラーリ
8位ロズベルグメルセデス
9位スーティルフォースインディア
10位リウッツィフォースインディア
11位ブエミトロロッソ
12位アルグエルスアリトロロッソ
13位ペトロフルノー
14位チャンドクヒスパニア
15位トゥルーリロータス
リタイアコバライネンロータス
リタイアセナヒスパニア
リタイアバリチェロウィリアムズ
リタイア小林 可夢偉BMWザウバー
リタイアグラッシヴァージン
リタイアグロックヴァージン
リタイアデ・ラ・ロサBMWザウバー
リタイアバトンマクラーレン
リタイアヒュルケンベルグウィリアムズ

スペインGPに続き、ウェバーが今季2勝目を獲得した。
2位にはチームメイトのベッテルが入り、レッドブルが1-2フィニッシュを果たす。
ポールポジションからスタートしたウェバーは、
序盤から終始他を寄せつけぬ独走状態。
途中でセーフティーカーが4回も入り、
築いたマージンをことごとく失ったにも関わらず、
リスタートすれば、現在最も勢いのあるウェバーに追いつける者はなく、
2位以下を大きく引き離す走りで、圧勝とも言える2勝目をモナコで飾った。
最後は4回目のセーフティーカーに先導されながらのファイナルラップとなったが、
セーフティーカーがコースオフしてからの数十メートルを難無く走り切った。
スタートでクビサを抜いて2位に上がったベッテルは、
今回はトラブルもなく、安定した走りを見せたが、
絶好調のウェバーには離されるばかりで、まったく付いて行けず、
結局は2位フィニッシュとなった。

予選最下位で、ピットスタートとなったアロンソは、
オープニングラップでのヒュルケンベルグのクラッシュに乗じてピットインし、
タイヤ交換の義務を1周目で完了、最後尾から怒濤の追い上げを見せた。
2、3周の間に下位のマシン4台をオーバーテイク。
狭くて抜けないモンテカルロ市街地コースも、フェラーリを駆るアロンソにかかれば、
その定説は有名無実化したと言ってもいいくらい、
爽快で豪快なオーバーテイク劇の舞台となった。
最下位辺りの争いであるにも関わらず、
国際映像も、そんなアロンソの走りをずっと追いかけていた。
そして、中盤あたりで他のマシンがタイヤ交換を終えた頃には、
すでに6位にまで順位を上げていた。
1周目のタイヤ交換と怒濤のオーバーテイク。
さすがアロンソといったところだろう。
モナコGPでは、過去にシューマッハが最後尾からスタートし、
最後は5位でフィニッシュしたという記録があるらしいが、
レース途中での給油が禁止されている現在のレギュレーションの下では、
その頃のピット戦略が使えないため、
アロンソのこの6位浮上は、シューマッハのそれを上回る快挙であると言えるだろう。
しかし、そのアロンソにも落とし穴があった。
ファイナルラップはセーフティーカー先導により各マシンが隊列を組んで走る。
しかし、そのままチェッカーまで先導されてレースが終わるのではなく、
最終コーナー手前でセーフティーカーはコースから離れる。
そこからチェッカーまでの数十メートルは、ほんの僅かな時間の戦いが許される。
アロンソは前を行くハミルトンが遅いのを見て、オーバーテイクを試みようとするが、
フェラーリチームはその試みを止める。
その一瞬の隙を突いて、背後のシューマッハがアロンソのインに割り込む。
最終コーナーでサイドバイサイドとなるシューマッハとアロンソ。
しかし、インに割り込まれたアロンソは外に避けるしかなく、
その瞬間にシューマッハがアロンソをオーバーテイク。
レース終了間際に6位と7位が入れ替わってしまった。
並のドライバならシューマッハの奇襲作戦が、
こうもあっさり成功するのも頷けなくもない。
しかし、シューマッハの前を走っているのはアロンソである。
解説でも、ほんの数十メートルだが気を付けなければ何が起こるかわからない、と言っていたが、
それがまさかアロンソに起ころうとは、一体誰が想像できただろうか。
レース後のインタビューでもシューマッハはそのシーンを得意気に話していたが、
静かに黙々と語るアロンソには、明らかに自分自身に対する反省の色が見られた。
チームの指示を無視してハミルトンに仕掛けていれば。
そんな悔しさを噛みしめているような表情に見えた。

可夢偉は今回は途中でマシンがストップしリタイアとなった。
国際映像もその様子を映さなかったため、
原因は何であったのかは現時点ではわからない。
可夢偉以外にもリタイアは続出した。
1周目のヒュルケンベルグに続いて、序盤でバトンがマシンから煙を上げてリタイア。
中盤ではバリチェロが路上の何かを踏んだのか、
突然バランスを失ってガードレールに激突。
終盤では、オーバーテイクしようとしたトゥルーリがチャンドクと接触し、
チャンドクのマシンに乗り上げるようにして両者リタイア。
一瞬のミスが即ガードレールや接触、そしてリタイアに繋がるという、
まさにモンテカルロ市街地コースならではの光景が、
今年も数多く見られたと言えるだろう。

ドライバーズポイント
1位78ベッテルレッドブル
1位78ウェバーレッドブル
3位73アロンソフェラーリ
4位70バトンマクラーレン
5位61マッサフェラーリ
6位59ハミルトンマクラーレン
6位59クビサルノー
8位54ロズベルグメルセデス
9位30シューマッハメルセデス
10位18スーティルフォースインディア
11位9リウッツィフォースインディア
12位7バリチェロウィリアムズ
13位6ペトロフルノー
14位3アルグエルスアリトロロッソ
15位1ヒュルケンベルグウィリアムズ
16位0小林 可夢偉BMWザウバー
16位0デ・ラ・ロサBMWザウバー
16位0ブエミトロロッソ
16位0コバライネンロータス
16位0トゥルーリロータス
16位0グロックヴァージン
16位0グラッシヴァージン
16位0チャンドクヒスパニア
16位0セナヒスパニア

2戦連続の優勝を果たしたウェバーが、4位から一気にジャンプアップ。
ベッテルと並んでポイントリーダーに。
今季最速と言われるレッドブルの両者が、ドライバーズポイントでトップに躍り出た。
現時点での勢いからすると、ベッテルよりウェバーの方が、
ポイントリーダーとしての座は続くものと予想される。

今回リタイアのバトンは4位に下がり、
アロンソはバトンを抜きはしたものの3位と後退している。

ロズベルグとシューマッハの間にちょっとポイント差があるので、
8位あたりまでがまだまだだんご状態にあると言える。
しかし、最近上り調子のシューマッハのこと、
これまでのウェバーの快進撃を考えれば、ヨーロッパラウンドが終了する頃には、
ひょっとしたらトップに近い位置にいる可能性も無いとは言えない。

相変わらず6位までは上位3チームが独占しているが、
ロズベルグを抜き、そのすぐ下まで来たのがルノーのクビサ。
同じルノーを駆るペトロフが6ポイントということを考えれば、
非力なルノーで59ポイントの6位は快挙である。

可夢偉は今回もリタイアにより、依然としてノーポイントのまま。
チームメイトのデ・ラ・ロサに至っては、未だ完走もない状態である。
マシンの信頼性と戦闘力、そして資金面での問題。
名門と言われたBMWザウバーに初ポイントがもたらされるのは、
一体いつになるのだろうか。

ちなみに、今季6戦が終わった現段階で、バトン2勝、ウェバー2勝に対して、
アロンソ1勝、ベッテル1勝というのは予想外の結果であると言える。

コンストラクターズポイント
1位156レッドブル
2位134フェラーリ
3位129マクラーレン
4位84メルセデス
5位65ルノー
6位27フォースインディア
7位8ウィリアムズ
8位3トロロッソ
9位0BMWザウバー
9位0ロータス
9位0ヴァージン
9位0ヒスパニア

今回1-2フィニッシュを果たしたレッドブルが、
フェラーリとマクラーレンを抜いて一気に首位に立った。
現時点での勢いを考えれば、これは当然の結果であると言えるかもしれない。
このまま首位を独走するか、フェラーリやマクラーレンに追い付かれるかは、
絶好調のウェバーよりも、むしろベッテルにかかっていると言ってもよいだろう。
また、メルセデスもマクラーレンまでは45ポイント。
追いつけない差ではなくなって来たという感じもする。
ドライバーズポイント同様、コンストラクターズポイントも、
依然混戦状態にあると言っていいだろう。

次なる戦いの場は高速コースで有名なトルコのイスタンブール・サーキット。
今季最速を誇るレッドブルが、ここでも上位フィニッシュを果たすのか。
はたまたフェラーリ、マクラーレンの両名門チームが、
Fダクトの威力を発揮して巻き返すのか。
ポイント的に混戦状態で迎えるヨーロッパラウンド第3戦も非常に楽しみである。

F1第7戦トルコGPは、5月30日決勝レース。
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