3301 F1第12戦ハンガリーGP決勝結果 はくぶん 2010-08-02 03:14:46
1周の短い高速サーキット、ハンガロリンクで行われたF1第12戦ハンガリーGP。
毎年何かが起こることで有名なハンガロリンク。
昨年はバリチェロのマシンから脱落したパーツが後ろのマッサのヘルメットを直撃。
気絶したマッサはそのままタイヤバリアに突っ込み、残りのGPをすべて棒に振った。
今年は、ピットから出たばかりのロズベルグの右リアタイヤが脱落し、
その横でクビサとスーティルがピットの出入りで交錯し衝突。
さらにポイントリーダーのハミルトンが、ギアボックスのトラブルでリタイアという、
ジンクス通りの荒れたレース展開となった。
その決勝結果は以下の通り。

優勝ウェバーレッドブル
2位アロンソフェラーリ
3位ベッテルレッドブル
4位マッサフェラーリ
5位ペトロフルノー
6位ヒュルケンベルグウィリアムズ
7位デ・ラ・ロサBMWザウバー
8位バトンマクラーレン
9位小林 可夢偉BMWザウバー
10位バリチェロウィリアムズ
11位シューマッハメルセデス
12位ブエミトロロッソ
13位リウッツィフォースインディア
14位コバライネンロータス
15位トゥルーリロータス
16位グロックヴァージン
17位セナヒスパニア
18位ディ・グラッシヴァージン
19位山本 左近ヒスパニア
リタイアハミルトンマクラーレン
リタイアクビサルノー
リタイアロズベルグメルセデス
リタイアスーティルフォースインディア
リタイアアルグエルスアリトロロッソ

ポールポジションからスタートしたベッテルは、
序盤で2位アロンソに10秒以上の差をつけて快走していたが、
コースに落ちた大きなパーツ回収の安全確保のために入ったセーフティカーから、
10車身以上離れるという珍しい違反を犯し、ドライブスルーペナルティを食らう。
ベッテルはなぜペナルティを課せられるのか納得いかないままペナルティを実行。
ピットレーンからコースに戻った時には、アロンソに前に出られてしまっていた。
その後、前を走るアロンソに対して10周以上に渡って猛チャージをかけるも、
冷静沈着なアロンソを最後まで抜くことができず、結局は3位フィニッシュとなった。
最後のインタビューでも、ベッテルはペナルティに対して納得がいっていないままだったし、
3位表彰台でもまったく笑顔はなく、悔しさだけが滲み出た表情をしていた。

アロンソ本人がフェラーリより1〜2秒速いと言及していたレッドブルのマシン。
しかし、たとえ後ろからベッテルに猛チャージを受けようと、
最後まで2位を守り抜いたアロンソの腕と精神力は天晴れと言うべきだろう。

ウェバーは今季最多の4勝目。
今回は、ポイントリーダーのハミルトンがノーポイントの上に、
ポイント2位のバトンが4ポイントしか獲得できなかったため、
ウェバーは一気にポイントでトップに躍り出た。
上記セーフティカー導入後に、タイヤ交換で次々とピットインする各マシンを尻目に、
バリチェロと二人だけピットに入らない戦術を選んだウェバー。
ピットインしたベッテルとアロンソの前に出て、
そこから安定した走りで大きなマージンを築き、
規定のタイヤ交換後には余裕を持って2位アロンソの前に出ることができた。
まさにタイヤとセーフティカーを上手く利用した勝利だったと言えるだろう。

今回の大健闘はペトロフだろう。
チームメイトのクビサがアクシデントでリタイアする中、
自己最高の5位でレースをフィニッシュした。
来季の契約更新が行われていないというプレッシャーの中で、
これだけの結果が残せるルーキーというのは、そうざらにいるものではない。

もう一つの大健闘はザウバーの二人。
先ずは7位フィニッシュで今季初ポイントを獲得したデ・ラ・ロサ。
そして予選でのペナルティにより5番グリッド降格で23番手スタートとなったが、
最後は9位フィニッシュを果たした可夢偉。
ザウバーが二人揃ってポイントを獲得するのは今季初である以上に、
未だにスポンサーが付かないプライベートチームの資金力で、
資金潤沢なメーカーチーム達の中に割って入り、
ダブル入賞を果たしたということは、まさに賞賛に値する。

ホームストレートでスリップから抜け出たバリチェロに抜かれる際、
バリチェロがあわや壁に接触かと思われるほど幅寄せをしたシューマッハ。
序盤からブレーキにトラブルを抱えたハードなレースだったとは言え、
皇帝としての品位を自ら落とすような行為は見ていて情けない限りだった。
この行為は審議の対象となったようだが、その結論はどう出たのだろうか。

ドライバーズポイント
1位161ウェバーレッドブル
2位157ハミルトンマクラーレン
3位151ベッテルレッドブル
4位147バトンマクラーレン
5位141アロンソフェラーリ
6位97マッサフェラーリ
7位94ロズベルグメルセデス
8位89クビサルノー
9位38シューマッハメルセデス
10位35スーティルフォースインディア
11位30バリチェロウィリアムズ
12位17ペトロフルノー
12位17小林 可夢偉BMWザウバー
14位12リウッツィフォースインディア
15位10ヒュルケンベルグウィリアムズ
16位7ブエミトロロッソ
17位6デ・ラ・ロサBMWザウバー
18位3アルグエルスアリトロロッソ
19位0コバライネンロータス
19位0トゥルーリロータス
19位0グロックヴァージン
19位0グラッシヴァージン
19位0チャンドク/山本 左近ヒスパニア
19位0セナヒスパニア

ポイントリーダーのハミルトンが今回はリタイアでノーポイントに終わったので、
優勝したウェバーが一気にジャンプアップしポイントリーダーの座に。
しかし、その差は僅かに4ポイント。
ウェバーと同率で3位だったベッテルも、バトンを抜いて単独の3位に。
しかもハミルトンに6ポイント差まで詰め寄っている。
上位陣のポイントを眺めてみても、トップから5位のアロンソまで20ポイント差なので、
また以前と同様のだんご状態に戻ったと言える。
今回のレースはマクラーレンにとっては痛い結果に終わったと言えるだろう。

一時期の速さに翳りが見え始めているとはいえ、今だ好調を維持しているレッドブル。
ドイツGP以降、完全に復活したように見えるフェラーリ。
今回は不本意な結果に終わったが、速さではレッドブルに並ぶマクラーレン。
今後もこの3チーム、6名のドライバによってワールドチャンピオンが争われることは間違いない。

それにしても、前回ドイツGPが終わった時点で、あれだけポイント差がついていたにも関わらず、
たった1回のリタイアや低ポイントで、これだけ激しく順位が動く今季のポイントシステム。
既に後半戦に入った今季のワールドチャンピオンシップだが、
今後はちょっとしたミスが即優勝戦線脱落という厳しいレース展開となっていくだろう。
そういう意味では、溢れる才能がありながらも所々に若さゆえの粗が目立つベッテルよりも、
常に冷静沈着でミスや粗の少ないアロンソの方が有利に見える。

コンストラクターズポイント
1位312レッドブル
2位304マクラーレン
3位238フェラーリ
4位132メルセデス
5位106ルノー
6位47フォースインディア
7位40ウィリアムズ
8位23BMWザウバー
9位10トロロッソ
10位0ロータス
10位0ヴァージン
10位0ヒスパニア

今回計4ポイントしか獲得できなかったマクラーレンに対し、
計40ポイントを獲得したレッドブル。
ウェバーのドライバーズランキング同様、
レッドブルが一気にマクラーレンを逆転してしまった。
トップのレッドブルと3位フェラーリのポイント差も74ポイントに。
一時期3位のフェラーリがトップのマクラーレンから100ポイント以上も離されていたことが嘘のようである。
ここでも今季のポイントシステムが大きく影響していると言える。
残り7戦。
こうやって見ると、フェラーリにも充分逆転するチャンスがあると言えるだろう。
ドライバーズポイント同様、最後まで上位3チームによる熾烈な争いが続きそうな予感がする。

今季もF1シリーズは、このハンガリーGPを以て夏休みに入る。
次戦はベルギーのスパ・フランコルシャンだが、それまで3週間の夏休み。
ドライバー達も一息入れて、3週間後のレースに向けてリフレッシュすることだろう。
しかし、メカニック達に果たして夏休みはあるのだろうか。
この間にマシンの改良が行われることも充分考えられる。
むしろ今後の戦いを考えれば、この時期に如何にバージョンアップできたかが、
今後のレース展開を左右する鍵になると言っても過言ではないだろう。
各々の思惑と都合が交錯する3週間。
果たして夏休み明けにどんなレースが待っているのか、今から非常に楽しみである。

F1第13戦ベルギーGPは8月29日決勝レース。
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