4402 ドキュメンタリー はくぶん 2013-04-28 07:25:36
フィクションとドキュメンタリー。
どちらが好きかと問われれば、自分は迷わずドキュメンタリーと答える。
別にフィクションが嫌いなわけでもないし、興味が無いわけでもない。
映画やドラマは充分楽しませてくれるフィクションである。
もちろん、全てが、というわけではないが。

いつの頃からか、そういったフィクションを、
あまり観たい、読みたいと思わなくなった。
映画より実録を、小説より歴史を、といった具合である。

事実は小説よりも奇なり、という言葉があるが、
所詮フィクションは人間の想像力の域を出ない。
想像は記憶が全てである。
中には特異な記憶を有していて、突拍子もない展開を思い付く人間もいるが、
逆に現実離れしていて、実感が希薄なことも多い。

要するに、ありふれてはいないが、現実離れしていない。
多彩でありながらも現実味があり、演技も演出もない。
そういう理由でドキュメンタリーの方を好むようになったのだろうと思う。

加工された写真の何と奥行きのないことか。
デジタル処理された音の何とダイナミックスのないことか。
綺麗に整ってはいるが、表面的であり平坦であり無機質である。
なぜかフィクションには、それらと同じイメージが付きまとう。

求めているものは、面白さや楽しさではなく、
それらとは異なる何らかの実感なのだろう。
ドキュメンタリーは様々な実感を与えてくれるが、
その中で、何かある一つの実感を探しているような気がする。
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