5012 心の目 はくぶん 2013-12-28 02:52:26
イオンにある雑貨店で金属の球を二つ買ったのは、もう何年も前のことである。
手の中で転がしてリラックスと刺激を得るという球で、
転がすたびに球の中で鉄琴に似た柔らかい感じの音がする。

ずっと触っていなかったのだが、今日ふと思い出して手に取ってみた。

自分は元来左利きなんじゃないかと思うことがある。
この金属球を転がすのに、右手ではどうも上手くできない。
ゆっくりやればできるのだが、左手のようなスムーズさがない。
ゆで卵の殻を剥くときも、右手では絶対に剥けない。

今日は金属球を転がしていて、もう一つ新たな発見をした。
球を転がしている手元を見ていると、上手く転がせない。
時には球を落としたりすることもある。
手の感覚だけに任せて、目は他所を見ていた方が上手く転がせるのだ。
しかもそれは、苦手な右手より、得意な左手の方が顕著なのである。
手元を見ることによって、手への集中が乱れるような気がする。

武道には、心の目を開け(使え)、という言葉がある。
実際の目で見ると、幻に惑わされるから、
相手を心の目で見なければいけない、というものだ。
この言葉の意味が、何となくわかるような気がした。
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