“走れメロス”は、むしろタイトルを“走れよメロス”と変更してもいいほど、
メロスは始終歩いていたようだ。
メロスの足取りを数字的に追いかけた中学生が現れた。
彼によると、メロスは全行程を歩いていたそうだ。
往路で3.9km/h、復路前半が2.7km/h、後半が5.3km/h。
それが彼のはじき出したメロスの速度。
フルマラソンの一般男性の平均時速は9km/hらしいから、
上記は完全に徒歩のスピードである。
昔の道は今の道ほど整備されていたわけでもないだろうし、
途中で障害となるようなことも少なからずあっただろう。
そうなると、現在の速度を当てはめて考えるのは間違いかもしれない。
まさか太宰治も、こんな検証をされるとは思っていなかっただろう。
もうちょっと緻密に計算しておくべきだった、などと、
今頃天国で思っているかもしれない。
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