6794 | とんでもございません | はくぶん | 2015-08-29 06:59:14 |
“とんでもない”という言葉がある。 これを敬語にすると“とんでもございません”だと思っている人は多いと思う。 かく言う俺も、今の今までそう思っていた。 “とんでもない”は、国語辞典にはこう記されている。 “とんでも”に“ない”の付いた形だが、“とんでも”が単独で使われた例はなく、“とんでもない”で一語と見るのがよい。 つまり、“とんでもない”は一つの単語であり、“ない”だけ切り離して語形変化させることなどできないと言っているのである。 よって、“とんでもございません”は文法的に間違った表現ということになる。 “とんでもない”の正しい丁寧語・敬語表現は、“とんでもないことです”とか“とんでもないことでございます”である。 しかし・・・ ならばなぜ、これだけ広く当り前のように使われているのか。 なぜビジネス文書にも登場するのか。 そういう疑問が湧く。 その答えは、平成19年(2007)2月文化審議会答申の『敬語の指針』にある。 文化庁が、本来は間違いである“とんでもございません”という表現を、“相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消すときの表現であり、現在では、こうした状況で使うことは問題がないと考えられる”として、正式に認めてしまったのである。 文法的には間違いでも、政府が認めてしまった表現ということだ。 しかし、いくら政府が認めても、なぜそういう風に語形変化するのか、誰も文法的に説明することはできない。 文法的に説明できないのに、政府が正式に使用を認める“とんでもございません”。 “現在では、こうした状況で使うことは問題がないと考えられる”表現など、世の中にいくらでもあるような気がするが・・・ |
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