7484 砂上の楼閣 はくぶん 2019-11-10 15:00:40
ちょっと前の話。
家の電波時計と自宅サーバの時計の時刻が十数秒違っていた。
自宅サーバには時刻合わせのアプリが入っている。
電波時計も電波をきちんと受信している。
となると、疑わしきは、時刻合わせアプリ。
今でも桜時計を使っている。
ツールバーから久し振りに画面を開いてみると、サーバとの交信が全く行われていない。
相手先のNTPサーバはGoogle。
相手先のサーバ自体は検出しているが、交信が行われていない。
桜時計を起動し直してみたが、状態は変わらない。
試しに、他のNTPサーバを探して繋いでみたら、あっさり繋がり、時刻合わせは完了した。
自宅サーバ側の問題ではない。

となると、原因は二つしかない。
GoogleのNTPサーバがダウンしているか、NTPサービス自体を止めたかのどちらかである。
GoogleのNTPサービスを使っている人間なんて、世界中に腐るほどいるだろうから、もしダウンすれば、直ぐ嵐のように連絡が入るだろう。
その前に、Google自身で気付くかもしれない。
となると、NTPサービスを止めたのか。
もしかしたら、単にNTPサーバのIPを変更しただけかもしれない。
以前のIPが、現在は他の用途のサーバに割り振られていれば、サーバは検出するが、交信は行われないという現象も説明が付く。
いずれにせよ、無料サービスだからGoogleに告知義務は無い。
突然NTPサービスを止めてしまっても、法的問題は何も起きないだろう。
しかし、そのサービスを利用している者達に、どんな問題や損害が発生するかは計り知れない。

インターネットには無料サービスが溢れている。
しかし、同時に、突然終了するサービス、いつの間にか終わっているサービスも溢れている。
便利だが確実性が無い。
有り難いが永続性が無い。
まるで砂上の楼閣のような世界である。
バーチャルだから当たり前。
そう言ってしまえばそれまでだが、終わりを決めるのは、機械ではなく人間である。
機械が壊れて中断することはあって、終わらせる決定は人間にしか出来ない。

いつの間にかやって来て、いつの間にか去って行く。
そういう環境が当たり前になっていけば、そういう人間も当たり前になっていく。
始まりやすいが終わりやすい。
繋がりやすいが切れやすい。
どんなに素晴らしいものでも、無くなれば終わりである。
そんな儚い世界で人間はいつまで正常を保つことが出来るのだろうか。
人間にとって最も必要な事は、そこに在り続けるということなんだが。

二つの時刻の狂いから、そんなことを考えていた。
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