21 人通りの少ないニューヨークのとある街角で、 一人の男が奇妙な光景を目にする。 少年がマンホールの上を、楽しそうに跳び跳ねているのである。 にこにこと満面の笑みを浮かべながら、少年はこう呟いていた。 「21,21,21,21,21,21・・・・・」 男はその場を通り過ぎようとしたが、好奇心を抑えきれず、 踵を返し少年の所にやってきてこう尋ねた。 「こんな所で何をしているんだい?21って一体何のこと?」 しかし少年は答えようとはせず、ただ満面の笑みを浮かべながら、 「21,21,21,21,21,21,・・・・・」と繰り返すだけであった。 結局、よく分からないまま少年の仕草を眺めている男であったが、 少年のこの上なく幸せそうな笑顔を見ているうちに、 ふと自分も同じことをやってみたくなった。 「もしよかったら代わってくれないか?」男がそう言うと、 少年はにっこり笑い、黙って男に場所を譲った。 男が「21,・・・」と言ってマンホールに跳び乗ろうとした瞬間、 足元のマンホールの蓋が不意に少年によって横にずらされた。 悲鳴。漆黒に飲み込まれる男・・・。 少年は静かにマンホールの蓋を元に戻した。 そして、やはり満面の笑みを浮かべながら、 ぴょんぴょんとその上を跳び始めた。 「22,22,22,22,22,22,・・・・・」と言いながら・・・。