先輩 まだバブルの余韻が残ってた頃、新人だった俺がちょっとした失敗をして凹んでいたら先輩が飲みに連れて行ってくれた 新しくオープンした焼き鳥屋に入り、先輩がガンガン勝手に頼む焼き鳥を食い、 先輩のハイテンションな馬鹿話を聞きながらしこたま飲まされた 俺のミスや仕事の話は一切しなかった 帰る時になって先輩が持ち合わせがない事に気づいた 俺が「じゃあ俺が出します」と言うと、いつもはヘラヘラしている先輩(仕事は滅茶苦茶できる)が急に真剣な顔で 「バカ野郎、何言ってんだ、ちょっと待ってろ」と言うと慌てて店を出て行った 20分くらいして近所の飲み屋にいた先輩の同期の人から金を借りて戻ってきて会計を済ませた 店を出る時に先輩が何気なくポツリと言った事は今でも守っている 「お前も目下の人間にはちゃんと威張り賃を払えよ」 その先輩は今は独立して50人ほどいる会社を経営している 相変わらずヘラヘラしているが、50を過ぎた今でも独身で相変わらず異常にモテる