子猫 今から10分ほど前の出来事です。 僕が一人暮らしをしているアパートへ帰ると、駐車場の車の下で子猫が鳴いていました。 母猫とはぐれたのか、悲痛とも思える甲高い声で鳴き続けていました。 そして僕のもとへと近づき足元まで来ても寒そうに丸まって鳴き続けました。 どうしたものかと思い、とりあえず僕は一度家に上がりなぜか煮干を握ってもう一度外に出ました。 すると若い男の人が困ったように、鳴き続ける子猫を見ていました。 そしてその子猫を抱きかかえ、財布を取り出してマンション下の自販機へと行きました。 しかし、その自販機には子猫が飲めるようなものなどなく、再び困ったような顔をしました。 そして、男の人は近くに止めてあった自分の車に子猫を乗せて自分も乗り込み車を出しました。 ドアを開けた時、車の中から大音量の音楽が聞こえ、その男の人はいわゆるニーチャンなんだとわかりました。 でも、すれ違った瞬間に車の窓から、男の膝の上に乗り片手で撫でられる子猫が見えました。 僕は煮干を握り締めたままそれを見ていることしかできませんでしたが、この寒さ厳しい今日、少し暖かい気分になれました。