女子寮への電話 実話です。 その女子短大の寮は、小さな児童公園の隣にあった。 昼は子供で賑わうが、夜はシンと静まる。 それでも防犯のためだろう、街灯が設置されていて、わりあい明るさはあった。 いつの頃からか、深夜になるとそこに一人の男が現れるようになった。 滑り台の上にのぼり、寮の方を向いて立っている。 男が何日それを続けたのかは知らない。 ある夜、たまたま窓から公園の方を見た学生の一人が、初めて男に気づいた。 時間といい、人影の大きさといい、児童公園には不似合いだった。 「ヘンな人がいる!」 その声で別の学生も窓に寄ってきた。 2人でカーテンの隙間から見ていると、男は着ていたコートの前をぱっと広げた。 ・・・下半身は裸だった。 街灯で、それははっきりわかった。 「キャッ!」 2人はとっさにカーテンを閉めた。 男は連日現れた。 寮では噂になり、それを見ない学生はいないほどになってしまった。 その頃はまだ携帯電話は普及しておらず、寮の廊下に共同電話があった。 ある夜、その電話が鳴った。 一人の学生が電話に出ると 「俺、公園の男やけど・・・」 男はハアハア喘ぎながら言った。 「・・・ねえ、見てくれた?見たやろ?」 「小さくて、見えんやった!」 ・・・翌日から男は一度も現れなくなったそうです。